紅茶片手に読書している。そして音楽を聴きながら

本の感想、コンサート記録など書いています。

「四月は君の嘘」

いつも、はてなのお題では、本の紹介を入れるようにしていたのに。今回はがっつりお題そのものが「最近おもしろかった本」です。
最近読めてないのですが(^_^;)

マイナー路線でゆこうか、メジャー路線でゆこうか
ひとしきり悩んで
今回はメジャー路線で書こうと思います。

四月は君の嘘
5月に完結のコミックも出まして
今が読み時の漫画ではないかと思います。
既にアニメ化もされ、超有名漫画かもしれませんが。
もし、まだ読まれていない方、いらっしいましたら
これはお勧めです。

母の死によってピアノを弾くことができなくなった少年が
春のある日、一人の少女に出会います。
バイオリニスト。
彼女は強引に、少年を舞台へと連れ戻し
舞台の喜び、音楽を奏でるものの本能を呼び覚ましてゆきます。
でも、彼女は、病に倒れます。

そんなベタなお話なんだけれど。
ひとつひとつの描写がとても素晴らしいのです。

母の死を乗り越える少年の心情であったり
ゆっくりと目覚めてゆく恋心であったり
舞台に立つものの恐怖、それを乗り越えた上での興奮、感動
少しづつ近づいてゆく、気持ちと気持ち。

それらが、美しい旋律と共に繰り広げられます。

少し前に、私入院していました。
夜、真っ暗になった病室で、長い時間を過ごすんです。
病棟は、夜でも休むことはありません。
たくさん聴こえる、音、音、音。
患者さんのナースコールの音
ナースコールさえ押せない方の急を告げる
心電図や呼吸器を測定している機器が鳴らす音。
看護婦さんたちが走る音。
ガラガラと器具を押す音。

入院した病棟は、
少し前に、母が亡くなった病棟で。

心電図や、呼吸器が危険を知らせる、
ぴこ〜ん、ぴこ〜ん、って音は
母が亡くなる前に、私自身がずっと、ベッドサイドで聴き続けていた音で。

夜の間、ずっと考えていました。
自分も、体の痛みや、薬の副作用に苦しみながら。
母は、亡くなる最後の夜
何も会話ができなくなってしまう直前の夜
何を想って、この病棟のベッドで横たわっていたのかな。
痛かっただろうな。
辛かっただろうな。
怖かっただろうな。

あんなにも、死を恐れていた母だもの。

自分も、同じ病棟にいて、同じようにベッドに横になっていて。
でも、世の中には、健康で
今自分の家で、ゆっくりと休んでいる人も、
たくさん、たくさんいて。

見上げると、血が飛び散った染みが、天井には、ついていて。
誰かが、ここで処置を受けて
誰かの血が、ここに残っていて。
多分、このベッドで亡くなった方もいるんだって。

今、ピアノを弾きたいな。
弾けたらいいな。
そう思いながら、ずっと牛田さんのピアノのCDを聴いていて。

ピアノ、弾きたいな。でも、今、ピアノを弾けないことは、自分が一番よくわかっていて。

いろいろ思いました。
物語で、病人が出てくる作品は多いけれど
本当に病人の気持ちを、理解している作品は少ないよな。
健康な人が、自分の気持ちを押し付けていたり、
変に理想化して、病人を描いている作品も多いよな。
なんて。

そんな時に、ふと思い出したのが
この「四月は君の嘘」のワンシーンでした。

病気のために、もう、バイオリンの弓を持つこともできなくなった少女が
主人公と、主人公の女友達が一緒に
舞台で連弾しているピアノを
病室で、たった一人で、携帯で聴きながら
聴こえる音楽に合わせて、エアバイオリンを奏でるシーンです。
泣きながら。

この涙の意味を
この涙の苦しみを
この涙の切なさを
そして、この涙がもたらす
勇気と希望を。

何一つ言葉で表すことなく
ワンシーンで描き切ったのは
凄いです。

そんな、心に染み入るような
胸を切り裂くような
優しく包み込むような
たくさんのシーンであふれています。

マンガでしか表現のできない
いくつもの感動があります。

よかったら、一度、手にとってみてください。

アマゾンさんの本の紹介もいれておきますね。
とりあえず第一巻を。
第一巻を読んで
「え〜そんなに面白いかな?」と思っても
とりあえず、もう少し先まで読んでみてくださいね(*^_^*)
1〜11巻完結です。

四月は君の嘘(1) (講談社コミックス月刊マガジン)

四月は君の嘘(1) (講談社コミックス月刊マガジン)


で、ここまで書いておいて
今回もちゃっかり本の紹介は別にいれておきます(笑)

四月は君の嘘」これを読むなら、是非合わせて読んでいただきたい本がこれ。
いちご同盟

いちご同盟 (集英社文庫)

いちご同盟 (集英社文庫)

四月は君の嘘」の元ネタといいますか(笑)「四月は君の嘘」が「いちご同盟」のオマージュ?
マンガの中でも重要な役割を持つ本として登場します。
個人的にもいろいろ思い入れの深い作品でもあります。
どんな思い入れかは、秘密ですが(笑)

青春の甘酸っぱい感じがいっぱい味わえます。