紅茶片手に読書している。そして音楽を聴きながら

本の感想、コンサート記録など書いています。

牛田智大さんのCD「愛の喜び」感想

こちらのブログでも書く書くと言っておきながら
すっかり遅くなっています。
牛田智大さんのCD「愛の喜び」の感想。
このままでは、書く書く詐欺になってしまうので(^_^;)
いいかげん、書くことにします。
といっても、もう何度も書き直しているのですけれどね…。

牛田さんのCDには、「愛」があふれていますね。
そういえば、ご本人のサインにも、ハートマークが入っています。
ピアノも、愛にあふれております。

今回のCDは、牛田さんのインコ愛も溢れていますよね〜。
通常版、特別盤、共に、帯やカラーがインコカラー(笑)
通常版が緑インコで特別盤が黄色インコ。

写真を載せられると良いのですが
CD、特別盤しか持ってないんです。

よろしかったら、皆様、店頭でご確認ください。
今回は帯も捨てられません。

説明もなく、何を書いているんだという気分でいっぱいです。

さて。普通のピアノの感想は、応援ブログに書きましたのでそちらへ。
こちらでは、少し変わった妄想的感想を。
選曲の感想、になってしまったかな?
長くなってしまいましたので、興味のある方のみお読みください。
相当変、です(苦笑)

今回のCDのインコ。
インコカラーに特別盤は、表紙がインコ。

これは写真をいれておきましょう。

愛の喜び(初回限定盤)(DVD付)

愛の喜び(初回限定盤)(DVD付)

これは、きっと「戦争ソナタ」のインコ、ですよね?
川崎のリサイタルで、「戦争ソナタ」はインコのけんかをイメージしてと
おっしゃていましたから。
インコへの愛、プロコへの愛、さらにピアノへの深い愛、
そして、聴いてくださる方々への愛
そんな愛いっぱいつめこんだCDなのではないかしら。

「愛の挨拶」ではじまるこのCD。
愛する人との挨拶って素敵ですよね。
「おはよう」「こんにちは」「おやすみなさい」
愛する人とかわすこれらの言葉は
心に温もりを与えてくれます。
多くの言葉よりも時には雄弁である、愛する人との挨拶。
優しく、思いやりに満ちた、暖かな音色です。
愛といえば、こんなイメージ
愛の美しき側面を描く、「愛の挨拶」で、CDの幕が開かれます。

「愛の悲しみ」
愛するからこそ、悲しみが伴います。
悲しみのまるで伴わない愛なんて、あるのかしら?
片想いの悲しみ、想いが届かない悲しみ
経験ありませんか?
大好きな人がいて、でもその人は、別の人が好きで。
大好きな人が、自分とは違う人にむける、美しい笑顔に
心かきむしられたり。

お互いに愛し合っていたとしても、別の愛とのぶつかりあいがあったり
障害があったり。
愛してはいけない人を愛してしまったり。
愛しすぎて苦しくなることもあります。
愛は、両刃の刃。
時に人を激しく傷つけ、自分をも、激しく切りつける。
愛する人を失う悲しみもある。
「愛が苦しみなら、いくらでも苦しもう」は、ベルサイユのばらですね(笑)

愛の別の側面を描き出します。
牛田さんのピアノは、愛の悲しみでも、どこか甘さと優しさがあって。
哀しくても、どこまでも愛。そんな美しさを秘めているように思いました。

「愛の喜び」
愛の悲しみを知るからこそ、より愛の喜びは深まるのかもしれないです。
華やかで、はれやかで、心沸き立つような、「愛の喜び」

って、感想これでおわり?
愛の喜びに、言葉なんて必要ありませんものね(笑)
必要なのは、ぬくもりと、ロマンティックな音色のみ(深読み可ですよ〜)
晴れやかなピアノの音が、たいへん素敵です。

パガニーニ狂詩曲より第18番変奏」
これはね、勝手な私のイメージですが。牛田さんのピアノを聴いていて
今までが「人の愛」だとすると、もっと大きな「愛」を感じました。
言葉にすると、「神の愛」とか「運命の愛」とかそんな「愛」
ただ、今ここに生かされていることが、神の愛である
とか、宗教がかっていたら言ってしまいそうな
そんな大きな愛を感じました。

ピアノソナタ2番」ラフマニノフ
愛もずいぶん深まってきたように思います。
この曲は、ラフマニノフの娘さんが病に倒れ、名医を求めているときに
着想を得たものらしく
愛するものを失いかねない苦しみも感じられます。

「愛」の難しさは
命は「死」を伴うからだとも思うのです。
どんなに愛しても、いいえ、愛するからこそ
その相手の死は恐ろしい。
永遠の決別は哀しい。

「死」は、どんなにその人に会いたくても会えなくなる決別です。

ずっと昔、生きていても二度と会えない人と
死に別れた人は同じだと思っていたことがありました。
全然、違うんです。
生きていれば、出会える可能性があるんです。
生きていれば、その人は成長します。時が動きます。
でも、死んだ人は成長しないんです。
死んだその時で、時が止まります。
自分の中でその人が生きていても
その人の言葉が自分の中にあったとしても
死んだ人は、もう二度と決して、
新しい想い出を作ることはできないのです。

永遠の決別である「死」
「怒りの日」のパラフレーズ

メメントモリ」死を想え。

愛する人の死を想え。

死を、死ぬことを知るからこそ、今の愛はより美しい。

ピアノで低く、鐘の音が鳴り響きます。
葬送の鐘のような音。

愛とは何でしょうか
死とは何でしょうか

まるで、絶望と闘おうとでもいうように。

そんな深い深い問いを抱えながら進む
繊細な曲のような、ラフマニノフピアノソナタ2番。
そんな音であるように感じました。

「戦争ソナタ7番」

深い深い音色を響かせた、ラフマニノフの次は、プロコの戦争ソナタです。
戦いも、愛のゆえに起こります。

家にくる野良猫だって、春になれば、一匹の雌を争って
雄猫たちが戦いを繰り広げます。
インコたちだってきっとそう。(飼ったことないけど)

愛は争いでもある。

戦争ソナタはインコのけんか
牛田さんのこの言葉を聞いてから
このプロコの戦争ソナタへのイメージが、ずいぶん明るくなりました(笑)

でも、二楽章にかくされた歌詞に
やはり深い哀しみを感じずにはいられません。

シューマン、リーダークライスより

悲しみ

僕は幾度でも気分良く歌える、
あたかも楽しんでいるかのように。
けれどひそかに涙を流しては、
自分の心を軽くしているんだ。

ナイチンゲール
外で春風が戯れると
憧れの歌を響かせる、
自分の捕われている籠の中から。

するとすべての心が耳を傾け、
すべての物が喜ぶ。
けれど誰もその苦しみを感じない、
歌の中に込められた深い苦悩を。

愛の喜び

愛の喜び


通常版、そしてDVDに描かれた鳥のデザインは
どうしてもインコには見えません。
まるで、かくされた悲しみのナイチンゲールのよう。

特別盤のほうが2羽のカラーのインコなら
通常版は、モノトーンの幻のような一羽の鳥。

牛田さんの写真も、
2羽の鳥の紡ぐ愛からはゆっくりと視線をそらし
幻の一羽の鳥のさえずりには、そっと耳をかたむけるよう。


さまざまな愛の側面を見せながら、
それでもタイトルはあくまでも
「愛の喜び」
悲しみを伴うから、愛はいっそう喜びにあふれるのかもしれません。


以上、CDの感想というか、愛について語ってみました?(苦笑)
牛田さんのピアノの感想が読みたかった方、ごめんなさい。
ここまでおつきあい、ありがとうございました。