紅茶片手に読書している。そして音楽を聴きながら

本の感想、コンサート記録など書いています。

エフゲニーオネーギン

先ほど、ロシア語講座から帰宅しました(*^-^*)
今日も今日で大混乱!
レジでお金を支払う時、レジは対格なのか!とか
動詞の完了体の未来の使い方とか
わかるよなわからないような……。
(さらっと、読み飛ばしてください)

今日は(も?)先生と楽しくお話ししていて
プーシキンが大好きなんですよ」とはじめて
お伝えしましたところ、
「え?プーシキンが好きって人、初めて会いました!!」
と先生。
プーシキン、日本で人気ない、ですか??

確かに、プーシキン全集絶版になっているし…
読みたい文章が、図書館にしかなかったり
しますけれども。

プーシキン、こんなに魅力的なのに!

そんなわけで、これから時々、
プーシキンのここが好き!」をつぶやいていけたらいいなと
思い始めました。

まだまだ、プーシキン初心者ですが(^_^;)

まず、プーシキンの紹介から。
プーシキンは、
ロシアの有名な詩人であり、戯曲家であり、小説家です。

プーシキンの作品の中から今日は、
大好きな「エフゲニー・オネーギン」より。

「エフゲニー・オネーギン」は、韻文で書かれた小説です。
韻文って何?というと、韻をふんだ文です。
乱暴な言い方をすれば、
この作品は詩の形式で書かれた小説、と言えます。

ながながと、あらすじを語るのはやめましょう。

人生に退屈しきったオネーギンがあるとき村にやってきます。
そこで、村娘のタチアナと出会います。
タチアナはオネーギンに一目で恋をします。

その夜タチアナが
眠ることもできず、心の炎に突き動かされるかのように
オネーギンに手紙を書きます。
ここの描写がとても好きです。

タチアナはオネーギンへの手紙の中で
「あなたはまえから私の夢にあらわれておりました」
というのです。
「前からあなたを知っていた。
私はあなたをあなたに出会う前から愛していた。
だから
あなたに出会ったときに「この人だ」とわかったのだ。」と。

そして、「ほかの誰にも、私の心をささげることはしないでしょう」
と伝えるのです。

眠れずに、月を眺める場面から
無我夢中に手紙をしたためるシーンは
初恋の激しさ
一目で恋におちるその感情を
見事に表していると思います。

ネタばれですが、結局オネーギンはタチアナをふってしまいます。

タチアナは、オネーギンにふられた後も彼を忘れることができずに、
オネーギンが留守の家に行き、許しを得て、
彼の本を読むのです。
ここが何よりも好きです。

オペラになっていないので、地味なシーンなのかもしれませんね。

でも。
はじめ、彼の書斎に入ったタチアナが
ただただ泣いてしまうところも
それでも、やがて夢中になって本を読むところも
ページに残されたいくつもの印に
オネーギンの心を読み取ってゆくのも。

己の愛した人を理解しようと
彼の心を知ろうとする
タチアナの心が、
強く胸をうちました。


静かな村、静かな木々の間に
ひっそりと建つ、主のない家。
そこに残された、いくつもの蔵書。

愛する人の心に、少しでも近づきたくて
オネーギンが本につけた印を読み解いてゆくタチアナ。

タチアナの心に、オネーギンの存在が深く深く
根をはってゆくようで、
タチアナは、とても深く、彼を愛したのだと
思ったのです。
決して、褒められた人ではない
オネーギンを。

こんな美しいシーンを描くプーシキン
とても好きになりました。

道徳的でもなく、説教もしない
ただありのままに、
理由もなく、恋におちてゆく人の心の揺れを
感じました。

エフゲニー・オネーギンは、もっと有名なシーンも
たくさんあります。

この続きも、とても素敵な場面がたくさんあります。

これほどオネーギンを愛したタチアナがどうなってゆくのか
そして、オネーギンはどうなるのか。

愛、とはそもそも何なのか
考えてしまう本でした。

もし興味を持たれた方がいらっしゃいましたら
ぜひ読んでみてください。

オネーギン (岩波文庫 赤604-1)

オネーギン (岩波文庫 赤604-1)

これが一番手に入りやすい本だと思います。
散文訳(ふつうの小説?)です。
賛否ありますが、私はこの訳も好きです。

完訳 エヴゲーニイ・オネーギン

完訳 エヴゲーニイ・オネーギン

こちらは韻文訳。


文章が苦手なかたは、オペラもあります。
今度ゲルギエフ氏が来日しての公演もあります!

もし興味を持たれた方がいらっしゃいましたら
ぜひとも、見てみてください!

http://www.japanarts.co.jp/m_opera2016/onegin.html