紅茶片手に読書している。そして音楽を聴きながら

本の感想、コンサート記録など書いています。

牛田智大さん、読響 「ショパンPコンチェルト2番」

2016年7月24日、日曜日。
東京池袋にある東京芸術劇場に、
牛田智大さんの「ショパンピアノコンチェルト2番」を聴きに行ってきました。

この会場は初めてです。
入口を入ると吹き抜けで、とても開放的でした。

音楽が始まると、やわらかな響きを持ったホールだと
感じられました。

牛田さんのピアノコンチェルトを聴くのは、もう一年ぶりになるのかな?
昨年プレトニョフ氏との、チャイコフスキーPコンチェルト1番を聴いて以来です。そして、牛田さんのショパンPコンチェルト2番を聴くのは
もう3年以上ぶり。

まずは、ピアノの音の変化に驚かされました。
音色がずいぶん深くなったように思われました。
オーケストラに埋もれてしまわない存在感を感じます。

そして、ずいぶん個性的なショパンのコンチェルト2番だな、と
思いました。
随所に、牛田さんの「こう弾きたい!」「こう表現したい」という
強い意志が感じらました。

牛田さんというピアニストは、かなり個性的な演奏を
されるのではないか?と、今回も感じました。


3年ほど前に聴いたときには、「恋や愛への憧れ」を感じる演奏と思いました。
今回は、もっと深い感情
恋の苦しさ、切なさ、心切り裂く痛み、が感じられました。
それらが、音の端々に感じられて、切なくなりました。
そして、
音色はますます艶があり、美しく
時折、はっと胸を掴まれるようで
心がさらわれるように思われました。


でも。
同時に何かもうひとつ欲しいような、
細部はとても好きなのに、全体の輪郭がつかめるようでつかめないような、妙な感覚を感じながら聴きました。
揺れ動くような感覚があったので、それを、このように感じたのかもしれません。

今は
もっと、もっと、
牛田さんの、次の音楽が聴きたいと思ってしまいます。

可能ならいつか弾きぶりで聴きたいです。なんて。

まったく、嫌な客ですね(^_^;)

アンコールは、前日の土曜日に、モシュコフスキーの「火花」であったと
伺っていたので、それだとばかり思っていたら。

流れてきた音楽は
「エディットピアフを讃えて」

とてつもなく、素敵だと思いました。
人を想う気持ちを
会いたくて、会いたくてたまらない人がいる気持ちを
思い出しました。

今まで聴いたピアフの中でも
最も美しいピアフのひとつではないかと思いました。

絶妙な間。ホール全体に響きわたるピアニッシモ

これは、牛田さんにしか表現することのできない世界であり
とてつもない魅力だと思いました。

今回の演奏を聴き、牛田さんが今後リサイタルで演奏される
ショパンの幻想即興曲、リストのソナタ
とても聴いてみたくなりました。

牛田さんは、どの旋律をどのように弾かれるのかな?
そんなことを想いながら、楽譜を眺めたり
音楽を聴いたりしてしまいます。

牛田さんは、とても華のあるピアニストだと思います。

いつか彼のラフマニノフや、ブラームスのピアノコンチェルトが聴いてみたいと
今回の音を聴いて思いました。