紅茶片手に読書している。そして音楽を聴きながら

本の感想、コンサート記録など書いています。

牛田さん、リストソナタ感想

リストソナタ感想って何だよ!と自分に突っ込みを入れながら
こちら書いてゆきたいと思います。

少し前に、牛田智大さんのピアノリサイタルを奈良橿原文化会館で
聴いてまいりました。

こちらは、本当に書きたいことだけ書きます(苦笑)
わがままサイトです。

とにかく、牛田さんの弾く、リストソナタが凄かったです!!

11月27日(日)
奈良県橿原文化会館 小ホール

プログラムは
ベートーヴェン Pソナタ31番
ショパン マズルカ Op.33-1.2
ショパン 幻想即興曲
バッハ・ブゾーニ シャコンヌ

チャイコフスキープレトニョフ くるみ割り人形より「間奏曲」
チャイコフスキー 18の小品より「瞑想曲」
リスト ピアノソナタ

でした。

バッハのシャコンヌも、ピアノで弾いていらっしゃるのに
バイオリンの切なげな音色が聴こえるようで、
胸を掴まれました。

が。

リストソナタがとにかく素晴らしかった!

牛田さんのリサイタル曲目発表があってから
このソナタを聴いたのですが
その時から、とてもとても気に入っていた曲なのです。

どうやら私はロ短調の曲が好物らしく(笑)

バッハのロ短調ミサ曲、
チャイコフスキー交響曲なら6番、ロ短調の悲愴が好き。
ドヴォルザークのチェロ協奏曲(ロ短調)も名曲だ!と思いますし
ブラームスクラリネット五重奏曲(ロ短調)も好き。
ショパンピアノソナタの3番も大好きです。

ポップ音楽でも、小田和正の「ラブストーリーは突然に」は
大ハマりした曲です。
いきものがかりの「花は桜、君は美し」を有線で聴いたときも
頭をガツンと殴られたような衝撃を受けましたし
思い起こせば、小さな子供のころ、
よく歌っていたのが、
キャンディーズの「春一番」でした。全部ロ短調……。

シューバルトという方が、24の調の性格付けをされているのですが
ロ短調
「大抵の場合、夜の衣に身を包んだ変わり者。彼は多少不機嫌で、愛想のよい顔つきをすることは極めて稀である。神と世界に対するあざけり。自分自身とすべてのものへの不満。自殺の準備…こうしたものがこの調の中で用いられている」
と書かれています。

それが好きなのか。自分……(笑)

それにしても、この調、神と悪魔の駆け引きにはじまり、己に満足することなく転がり続けるファウストを描くのに、なんてぴったりな調なのかしらと思います。

リストソナタロ短調
好き好きと言うだけあり
録音ですが、ずいぶんたくさんの演奏を聴きました。

ポリーニ、ユンディ、ユジャワン、トリフォノフ、などなどなど。

もちろん今回生で聴いた、というのもあるのですが
それでもなお、牛田さんの弾かれるリストピアノソナタ
あまりにも素晴らしく、心に刻み込まれました。

まるで「ファウスト」の物語が目の前に展開されるようで
会場にいながら、心は
天を、地を、ギリシアの神々の間を、魔女の祭りを
美しき美女たちを
時間も空間も超えた場所で繰り広げられる
愛と、悲しみと、憂いと

本当に、神も悪魔も見えるようで

その中に差し込む、死をも軽々と超える
愛の光が見えるようで

前半から、ぼろぼろと涙が出てきて、とても困りました。
涙をこらえていると、鼻水がぼとぼとと出てきてしまいますし。

以前こちらで、牛田さんは「天国と地獄を同時に見せる天才」と
書いたことがありますが
本当に、その通りです。

神の慈愛も、悪魔の誘惑も
人のかぎりない愛も

罪の赦しも。

深淵なる物語をこの世にピアノで表す才能は
牛田さんの、すさまじい魅力となっていると思うのです。


牛田さんのリストソナタは、現在のところ、
12月23日の山口での公演で聴くことができます。

http://www.ycfcp.or.jp/event_item.php?page=214

それでも、もしこんなわがままを言うことが可能ならば
是非ともまた、牛田さんのリストソナタを聴きたいです!