紅茶片手に読書している。そして音楽を聴きながら

本の感想、コンサート記録など書いています。

平成が終わる前に 1 牛田さんのリサイタル感想

明日になれば、平成の次の時代が何になるのかが、発表されますね。

これで自分は、昭和、平成、とその次の三世代を生きることになります。

 

平成になったのは、自分が高校生の頃でした。

自分にとって平成は、青春から今までの、或る意味もっとも人生の濃いところ?を

過ごさせていただけたように思います。

 

平成の最後の数年は、両親の介護と看取りで、生活も精神的にも、ずいぶん変化の大きな日々でした。その頃に、牛田智大さんというピアニストに出会い、クラシック音楽を聴くようになったり、ロシア語を学ぶようになったりしたことは、暗くなりがちな日々に、たくさんの楽しみをいただくことができました。

 

さてさて、平成の終わりに、牛田さんのリサイタルに、二度行かせていただきました。

平成が終わる前に、この感想をこちらに書いておこうと思いました。

 

3月21日、横浜みなとみらいホールのリサイタル。

3月23日、大阪シンフォニーホールのリサイタル。

 

プログラムは

 

21日 シューベルト即興曲Op.90の4曲

      ショパンのバラード1番

   ショパンのプレリュード全曲。

 

23日 シューベルト、リストの「セレナーデ」

   シューベルト即興曲Op.90の4曲

   リスト 「愛の夢3番」

   シューベルト・リスト「水に寄せて歌う」

   リスト ソナタ

 

個人的に、私はシューベルトがとても好きです。

子供の頃に「ます」を聴いた時は衝撃でした。

「魔王」を聴いた時には、夜も眠れずいたほどでした。

(だって、怖いよね?)

「のばら」は、こんなにも美しい歌があるのだと思いました。

シューベルトの歌曲や交響曲も好きですが

ルプーや内田さんの弾かれるシューベルトピアノ曲が大好きです。

今回聴かせていただいて、牛田さんの弾かれるシューベルトがとてもとても

気に入りました。

シューベルトの孤独と同時に抑えても溢れるかのような情熱を感じました。

今後、牛田さんのいろいろシューベルトの曲を聴かせていただけたら嬉しいと思いました。

 

私は、自分がクラシックの良い聴衆であるかどうか、よくわかりません。

音楽をきちんと聴ける自信はありません。

 

音楽を聴くことと、感想を書くことについては、悩む事ばかりです。

 

以下、勝手なクラシック音楽素人の個人的な感想です。

 

2日間、牛田さんのピアノを聴かせていただき、この方のこれからの音楽が、ますます楽しみになりました。

 

シューベルトでは、まるでホール全体を楽器のように鳴らそうとされているように感じました。音が会場に広がってゆくのが見えるようでした。

ショパンでは、まるで古楽器のような響きの音色が、繊細な和声変化と共に変化する様子が見えるようでした。リスト(シューベルト)では、各声部の横のつながり、各声部の音色の違いが浮き立つように見えてきました。

 

これから、人生経験を積まれるにつれて、もっともっと深い音楽になってゆかれたら、きっと、もっともっと素敵になるのでしょうね。

 

もちろん、今の、青年らしい音楽が、とても感動的で

今の音楽として、本当に大好きだと思いました。

以前に聴かせていただいた音楽から、どれほど、大人らしい音楽になっていることか

低音のズンと響く音色から、繊細にきらめく音色まで、なんと音の巾が大きいことか

そんなことをとても嬉しく思いながら聴きました。

 

そして、未来の牛田さんが、

髪に白いものが混じり、とても穏やかな表情をした牛田さんが

もっともっと、豊かな音楽を舞台で奏でている姿が、

ホール全体を楽器のように響かせながらピアノを弾かれている姿が

不思議と見えるような気がしました。

 

平成から次の世代になってさらに、楽しみなピアニストです。

 

次の舞台を楽しみにさせていただけることに、感謝しています。

 

(といっても、今年は娘大学受験のため、ちょっと身動きとるのが難しくて、どれだけ聴きに行けるかわからないのですが)