紅茶片手に読書している。そして音楽を聴きながら

本の感想、コンサート記録など書いています。

「猿之助さん」

今日は家族で猿之助さんの襲名披露を観に行ってきました。
最近は小学生の娘も付き合ってくれるので、家族みんなで行くことができるのが楽しいです。

四の切のきつね忠信。佐藤忠信の時ときつね忠信の違いがくっきりしていて、本当によかったです。きつね忠信が、ふとした瞬間に「きつね」に見えるゾクゾク感は凄いです。きつね言葉もいやらしくなかったです。ところどころ、所作と所作のつなぎが、「ぎこちないかな?」と思う部分もありましたが、これは絶対に今後よくなるはず。

一番よかったのは、鼓を慕う表現です。これ、場合によっては「おかしな人」に見えたり、「ただの鼓フェチ」に見えてしまって、なかなか鼓=親を慕う様子に見えないのですよ…。酷い時には、「頭のヘンな人が地面をのたうちまわった末、鼓に異様に興奮する」としか見えない…。(私の舞台解釈能力が低いせいもありますが…。まず、源九郎狐が、きつねに見えないことも多いのです。)
それなのに今回は、「きつね」が、「鼓になってしまった親」をそれでも慕う姿に、すっかり感情移入して、泣けてきました。

川連法眼館は、いろいろな役者さんで、もう何度も観ていますが、今回の新猿之助の忠信は、私の中ではベスト1か2に入ります。

御園座は我が家から一番近い歌舞伎の見られる劇場で、子供の頃から30年も通った場所であるだけに、今回の「さよなら」は前歌舞伎座とのお別れと同様、身を切られるように辛いです。