紅茶片手に読書している。そして音楽を聴きながら

本の感想、コンサート記録など書いています。

見上げてごらん、夜の星を

という、歌がありましたね。

見上げると、今はもう、冬の星座。(時間も遅くなってきましたし)
一年で一番豪華で華麗な星空です。

今夜は空気が澄んでいて、星がとてもたくさん見られます。

三ツ星で有名なオリオン座、全天で一番明るい一等星、シリウスの輝くおおいぬ座
将棋のコマみたいなぎょしゃ座、ふたご座も出てきています。


星といえば、今まで見たなかで最も美しかったのは
寒い時期に見に行った流星群です。

あれ、何の流星群だったのかな?時期的にふたご座流星群だと思うのですが(^^ゞ
いい加減だなあ…。

大学生の時、高校時代の先輩たちに誘われて、冬、山に流星群を見にいきました。
とても寒い夜で、山の外気温はマイナス10度を下回っていました。
宿をとるわけでもなく、車を山の駐車場に止めて、一晩中
望遠鏡で星雲や星団を見つつ、流星を捜して夜空を眺める。
若い頃にしかできない企画でした。

こんなちょっと無謀な星空観察も、初めてではないので
いろいろと装備もしていったのです。

靴下は、ふつうの靴下の上にビニール袋をはいてその上に靴下を重ね履きします(凍傷予防)
上着はスキー用のあたたかいもの。色は必ず白っぽいもの。
(観測途中で眠ってしまうと危険なので、必ず夜に目立つ色にします。黒っぽい服だと、木にもたれて眠ってしまった時、皆から見えなくて助けてもらえない(^^ゞ)
寒い空気を吸ってしまうと、胸が痛くなる時があるので
マフラーで口元も覆います。帽子も完備。
さらに、暖かいお茶が飲めるように、保温のポットも準備。

でも…、マイナス10度以下の夜、風も強くなるふきっさらしの山肌は…ホント寒いです。

幸いその日は、とても良い天気。
流星もぼつぼつと流れてくれました。しかも大きくて派手な流星も流れます。
大きくて派手な流星って、どんなのだと思います?
一等星かそれ以上の明るさで、夜空をぐ〜んと横切って、最後にパン、と破裂したりします。

流れ星というと、願い事というイメージがありますが
今まで、願い事を言えたことはありません。
ずーっと空を見上げて流星を待って
一瞬流れた時には、心をすっかり奪われていて
「わ〜〜〜〜」とか「流れた!」としか言えないから。

星を眺めて、わいわい騒いで、夜の3時頃まではいいんです。
でも4時ごろから、きつくなります。
眠くなってくるし、寒さもいっそう厳しさを増してきます。
夜明け前の、一番静かで、寒くて、頭もぼんやりしてくる頃。
皆の心の鍵も、バカバカに開いてしまう頃です(苦笑)
青春の悩みを打ち明けたりしつつ、あまりの寒さに、猫みたいに身を寄せ合って
「どうして、こんな無謀な企画にのってしまったのか」と後悔がつのる時間です(笑)

5時か、もう6時近かった頃でしょうか。天文薄明(ぼんやりと明るくなり始めるころ。天体観測には向かない時間となります)はすでに始まっていました。
天体観測はもう無理と望遠鏡も片付けて、帰る準備をしていた時です。

東の空は、もう明るくなりはじめていたのに、その東の空に
流星が、いくつも、いくつも、いくつも流れ始めました。
それはまるで、光の雨のように。

皆、声をあげることも忘れて、茫然とそれを見ていました。

10分だったのか20分だったのか、それ以上だったのか。
それとも、もっとずっと短い時間だったのか。

寒いことも、眠いことも、疲れていることも、何もかも忘れて。
もしかしたら、自分が自分であることも、忘れて。
奇跡みたいな景色を、ただ、見ていました。

流星群の観測は、何度も何度もしたけれど
あの時ほど、美しく、あの時ほど一度に多くの流星を見たことは、
後にも先にもありません。