紅茶片手に読書している。そして音楽を聴きながら

本の感想、コンサート記録など書いています。

月食レポート

昨夜の月食、全国的に前半晴れ、後半曇りのお天気だったようですね〜。
我が家では6時10分ころから、庭にレジャーシートをひき、
(もちろん早々と夕飯はすませて(^^ゞ)
お菓子とジュースもスタンバイ。三脚にはカメラ、双眼鏡も準備。という
レジャー感満載のお月観となりました。

月の欠けはじめから大興奮。
「月が、変な形だ〜」「あの影はこの大地の影なんだね」
「地球の影、大きいね」「地球のどの辺の影かな」
「いや、それは…」
「手振ったら、影映るかな?」
「えええ?」
などなど、わいわい騒ぎながらの観望会。
月が半分くらいまで欠けてくると
「月、餃子みたいに見えるね」
「いや、あれはクロワッサンでしょう」
「黒い部分もあるから、鈴カステラ」
などなど。欠けた月を例えるのですが、気がつけば全部「食べ物」です…。
(どんな親子なんだ…)

月も半ばまでかけてくると、影の部分がぼんやりと赤く見え始めます。

ずっと見上げていると、月がどんどん空を駆け上ってゆくのがわかります。

「これね、月が動いてるんじゃないんだよ。地球が回っているんだよ」と言うと
「地球の回転ってけっこう速いんだね」と娘がつぶやきます。
そうそう、それがわかるだけでも、ずっと見ている価値があるよね。

月だけ見ているのもアレなので、ついでに夏の大三角や、北の空の星々の観察も
してゆきます。
ただ、秋の星座はいまひとつ見えにくくて…。
アンドロメダ大星雲とか、見られるとよかったのだけれど
それは、また次の機会に。

月の欠け終わり、果たしてどんなふうに皆既状態に入るのか
時計を見つめながら、息をひそめて見守ります。
月の明るい光が、豆粒から米粒のようになってゆきます。
そして、ほんのわずかに残った月のひかりが、すっと消える瞬間、
月の周辺がわずかにくるりと赤く光ったように見えました。
「あ」
っと思う間もなく、月は皆既状態の赤い月へと変わりました。
とても静かに。でも、決定的に。
まるで、月の別の顔を覗いたみたい。
違う世界の月を眺めているようです。

皆既状態に入ったら、次は天王星をさがします。
雲が次第に押し寄せてきているので、時間との勝負です。

「月の少し右、そして真ん中よりほんの少し上」
「暗いよ、暗い星。見えるか見えないかのぎりぎり」
双眼鏡を交互に覗きながら、天王星を捜します。
「あ、あれだ。あれ」
娘がすぐに見つけます。さすが望遠鏡や双眼鏡のピントを合わせることにかけては
妙に才能を感じさせる娘です。
じきに私も見つけることができました。
見えるか見えないか、ぎりぎりの暗く蒼い星。
あれが、同じ太陽系の仲間の、ずっと遥か彼方の兄弟星。
「ちゃんと見えたよ〜」って手を振りたくなります。

やがて雲が月を隠してゆきます。
恥ずかしがり屋の月の女神が、いつもと違う表情を雲で隠してしまうかのように。

皆既状態で、この雲では観測が難しいため、
私は家事するために、娘はピアノを弾くために家に入ります。

皆既終了の頃から、また外で観測開始。
月が光を取り戻すにつれ、雲の薄いところから光が漏れてくるようになります。
雲の間から月が隠れては見え、見えては隠れ。
月の周りには、雲に反射してぐるりと虹が見えてきます。

時折、雲の薄いところから、光を取り戻してきた月が
幾恵にも重なる雲を、立体的に浮かびあがらせます。
七色に輝く淡い光につつまれて、雲が揺らめき、月が優しく輝きます。
幻想的な、フレスコ画のような世界。

最後、食の終わりに、突然雲が切れ、月が鮮やかに姿を現しました。
少しだけ、暗い部分を残した月が、ふっと全ての光を取り戻した瞬間。

2014年、月食の終了です。