紅茶片手に読書している。そして音楽を聴きながら

本の感想、コンサート記録など書いています。

牛田君、チャイコフスキーピアノ協奏曲1番を聴いてきました。

素敵なひと時でした〜。

今回会場は岐阜県サラマンカホール。少し小さめのホールですが
豪華で響きが良いところです。

演奏前に奥田先生のプレトークがありました。
「牛田さんが初めてチャイコフスキーに挑む歴史的瞬間」とのこと。
会場も盛り上がります。

演奏前に、公開リハーサルもあったのですが、こちらは岐阜県内の子供向けなので、県外在住のため申込みできませんでした(^_^;)

客席は牛田君の演奏会の時はいつもそうですが、今回もお子さんがけっこうみえました。

冒頭は大阪フィルの「はげやまの一夜」
今回ははじめからピアノが舞台中央にど〜んといました。

次が牛田君登場で、チャイコフスキーのピアノ協奏曲1番です。
コンマスの方がピアノのラ〜の音を出します。
「ちょっと固めの響きのピアノかも」と思いました。
そして、ちょっとつんのめるように牛田君登場。
いつもより少し緊張しているように見えました。
こんなに緊張してみえるのは、はじめて彼の演奏を聴いた2012年7月のしらかわホール以来かも。

お辞儀して椅子にすわり、すこしだけ伸び。
そして指揮者の方と向き合って、演奏が始まります。

牛田君、今まで「柔らかな音」「弱音が美しい」と思ってきました。
でも今回の曲はけっこうガッツン系。さあ、どうなる冒頭!
オーケストラに続いてすぐにピアノの和音です。
どん、とくる音が響きます。
まるで全身で音楽に立ち向かってゆくような演奏でした。
フィギュアスケートの羽生くんのフリーの演技と
印象がかぶりました。
一心不乱に自分の持てるすべてで音に向かう感じが似ているように
感じたのです。

牛田君、今までだとピアノを弾きながら音に耳をすませたり
場合によっては客席を見たり
「まだ、余裕あるの!?」って感じだったのですが
今回は、何かが違いました。
音も柔らかさよりも、特に一楽章では激しさが感じられました。

二楽章三楽章は、柔らかさと激しさが交じり合い、とても美しかったです。トリルも本当に綺麗。
牛田君のトリルは、いつものことながら、すごくきれいですね…。


今回はちょうど背中側だったのですが、腕がしなるように鍵盤を舞い、スケールが流れるように動いたかと思うとまた和音でドスンとくる。
和音もすごく大きいし…。手をあんなに広げたままで、うまく脱力して和音連打って…。あの細い体でどこからそれだけのエネルギーが湧いてくるのかと思いました。

最後の一音の後は、客席から「ブラボー」の声。
牛田君は指揮者に握手をし「ありがとうございました」と伝え
コンマスに握手をし「ありがとうございました」と伝え
客席に大きくお辞儀をされました。

鳴りやまない拍手に何度も(5回くらい?)挨拶に出てきてくださいました。
客席を見渡し、手を胸に当て、「ありがとうございました」と深くお辞儀をされてみえました。
こちらこそ、「ありがとうございました」

まだまだ、これからどんどん伸びる才能だと思います。
こころよりの拍手をおくりたいと思います。

私ごとですが。
今、両親が病気で悲しいことも多いです。
正直、時が止まって明日がこなければいいと思うこともあります。
明日がこなければ、両親の病がこれ以上悪くなることがないから。
明日がこなければ、自分の病もこれ以上悪くなることがないから。
明日が来るのが怖くて。

そんな日々の中で、コンサートに行ける日があることに救われます。
チケットが取れると、明日がくるのが少し楽しみになるのです。
時間が過ぎてもいいと思えます。
チケットが、ものすごく輝いてみえて、その日その時を楽しみに
待つことができます。

闇の中をさまようような日々の中でさえも、小さな灯りのように思えます。

牛田君のように、日々伸びてゆく才能を見られるのは本当に幸せで。
彼の演奏が聴けるのが、彼の演奏がどんどん良くなっていくのを
見られるのが、私の小さな希望のひとつなのです。

音楽を聴いていると、心にたまった澱が少しづつ消えてゆきます。

このひと時に感謝を。
また、明日のその先で、彼の演奏を聴くことができますように。


写真が上手くはれなくて、向きがおかしいのですが(^_^;)