紅茶片手に読書している。そして音楽を聴きながら

本の感想、コンサート記録など書いています。

「正しい」を疑う

高校の頃でした。
宿題に出されていた物理の問題集の、ある問に、
どうしても答えをだすことが、できませんでした。
ほとんど一晩中考えても解くことができず
次の朝、学校で友人に聞いてみました。
「昨日からこの問題を解こうと頑張っているが
 どうしても、分からない。
 答えを見ても、解き方がわからない。
 自分の回答のどこが間違っているのだろう?」と。

友人はしばらく問題を眺め、
笑って言いました。

「これは、問題そのものが間違っている。解けない問題だよ。
 ここのプラスとマイナスが、間違っているんだ。
 印刷ミスか何かなのだと思うけれど。
 問題のプラスとマイナスを逆にすれば
 回答を出せるよ」と。

そして続けて言うのです。

「教科書も、問題集も、印刷されて本になっていると
ついつい、『正しい』と思ってしまいがちだけれど
これも人が作ったものである以上
間違いは、あるのだよ。
自分が解けない時は、
『正しい』と思いこんでいる自分自身の『思い込み』
この場合は、問題そのものを、一度疑ってみることが
とても大切なんだ」

と。

目から鱗が落ちた瞬間でした。

『正しい』と思いこんでいる自分自身の『思い込み』

これは、自分が生活している中で、とてもたくさんの場面に
あるのではないかと思ったのです。

何か問題が起こった時に
この『正しい』と思っていたことが『間違っている』可能性を
きちんと考えること。
自分の『正しい』を疑ってみること。

友達はさらに続けます。
「教科書って、正しいと思いがちだけれど、
 一番怖いのは、それが正しいと自分が思っているということにさえ
 気づかないことがあることだよ。
 あまりにも自然に、教科書は正しいと思ってしまっていて
 正しいと思ってることさえ、意識していない。
 正しいと思っていると気づけば、疑うこともできるのだよ」

「これは『正しい』と思うことで、思考を停止してしまう。
 それは、とても恐ろしいことだよ」


「常識を疑え」
「自分の無意識の信頼を、意識しろ」
「思考停止しない」


彼女から教えてもらった、とても大切なことの一つです。