紅茶片手に読書している。そして音楽を聴きながら

本の感想、コンサート記録など書いています。

人間失格

あまり記事を書かないくせに(;^_^A
今日はめずらしく、2つも投稿です(笑)

桜桃忌とのことで、
久しぶりに「人間失格」を読んでいます。

なんだかとっても懐かしい友に再会したみたい。

高校の頃にはじめて読んで、
冒頭の「はしがき」で胸を射抜かれました。

大勢の女の人に囲まれて、
笑っている10歳前後の子供の写真の話題からはじまります。
「まったく、その子供の笑顔は、よく見れば見るほど、なんとも知れず、
イヤな薄気味悪いものが感ぜられてくる。どだい、それは笑顔でない。この子は少しも笑ってはゐないのだ。その証拠には、この子は、両方のこぶしを固く握って立ってゐる。人間は、こぶしを握りながら笑えるものでは無いのである」

やばい。ばれた。と(笑)
必死に取り繕い、笑っていた自分と同じ人が
ここにいると(笑)

翌日が模試だというのに、明け方5時ごろまで徹夜で読みふけり
その後も、まるで心の友のように感じておりました。

20年の年を経て
再び出会う人間失格
主人公はもとより、
主人公の周りの人々の気持ちもよくわかり、
なんとも懐かしいような、せつないような気持ちになります。

太宰は、どんな想いでこの本を書いたのかと思います。

本の中の言葉にこんな文がありました。

「美しいと感じたものを、そのまま美しく表現しようと努力する甘さ、おろかしさ。マイスターたちは、何でも無いものを、主観によって美しく創造し、
或ひは醜いものに反吐をもよほしながらも、それに対する興味を隠さず、
表現の喜びにひたつてゐる」

実は、私の持っている「人間失格」は旧仮名なので(;^_^A
漢字は旧仮名をパソコンで出せないので(だから、本当に機械音痴なの!)
なんだか中途半端な感じになっておりますが(笑)

大人になって、社会にきちんと適応したら
いつか自分は「人間失格」を読んで
「つまらない本だったのね」と言えるようになるのかなあ?と
思っておりましたが。

いやいやいや。どうも、そうはいかないらしい(笑)

太宰の亡くなった年を越し、
桜桃忌に、「人間失格」を読み返しちゃう中年(実は医学的には初老)
になっただけでした。