6月分読書メーター
今年の6月は、自己と他者の価値観の違いと、それによって同じものを見ても同じものを聞いても違う意味として捉えるという現象について、多く悩んだ月でした。
価値観が違うことによって、Aという現象を、或る人は「喜ばしいこと、よいこと」と捉える一方で、同じ現象を違う人は「愚かしい。ばかばかしいこと」と捉える。
人はそれぞれ己の地点からしか物事を見ることができない。
そして、まったく同じ地点に立つ人は、自分しかいない。
(自分とまったく同じ遺伝子を持ち、まったく同じ思考をし、まったく同じ経験を、まったく同じ場所で、まったく同じようにして、まったく同じように感じ、それをまったく同じだけ積み重ねた人など、その人、たった一人であるのだから)
その上で、違う地点から違う価値観、違う倫理観を持つ人と話をするのだが
場合によっては、ひとつの単語の持つ意味さえも、お互い異なってしまう(善悪でいえば、まったく逆にもなりかねない)。この難しさが、骨身にしみた一か月でした。
たまたま読んだ、漫画SWANで「人は自分という「人格のフィルター」を通してしか他人を見る事が出来ない。そして自分の価値観で好きなように意味付けする(中略)だからこそ誤解が起きる」との言葉に、深くうなずいてしまいました。
自分が、自分という人格のフィルターをとおして相手を見ていること、
そして、自分の価値観で好きなように意味付けしていることを忘れてはいけないと
思います。
誰かの言葉を聴く時も、たとえ自分がひどく傷つく言葉を投げかけられた時でさえも。
そして、或る意味自分の好きなように意味付けしてしまうのであるのならば
なるべく、そう、なるべく、良いものを見られるようにしてゆきたい。
そうはいっても、傷つく時は傷つくし、凹むんだけれどね。
でも、きっと愛もたくさんあるはず。うん。
6月の読書メーター
読んだ本の数:4
読んだページ数:353
ナイス数:88
Maia まいあ SWAN actII コミック 1-5巻セットの感想
まいあ新刊が出ておりました。前のをすっかり忘れていたので、またこそっと再読したいと思っております。自分を受け入れ自分を鍛えてゆく過程がじっくり描かれていて好きです。
読了日:06月30日 著者:有吉京子
SWAN -白鳥- ドイツ編 第4巻の感想
遂に完結! 「人の真意は実は誰にもわからんのです!人は自分という「人格のフィルター」を通してしか他人を見る事が出来ない。そして自分の価値観で好きなように意味付けする(中略)だからこそ誤解が起きこうした悲劇が起こる。だが、自分が見ている世界は実は自分が創り出したものなのだと気づく事さえ出来れば、人生はいつでも変えられる」 力強い言葉。自分という人格のフィルターを通して自分の価値観で意味付けをする、まさに今、そのことに気が付かされ悩んでいたので、考え深い。そのことが、人と人との分断ではなく,自己との融和、自分の解放へ、そして他者とのつながりにつながる気づきとなるために。自分には、まだまだ課題が多い。 それにしても、covid-19で舞台が閉ざされた時に読む舞台のすばらしさ。 「文化とは いい時だけに許される贅沢なものではない」との言葉をかみしめながら。
読了日:06月30日 著者:有吉 京子
綿の国星 漫画文庫 全4巻 完結セット (白泉社文庫)の感想
全巻まとめ読み。 小学生の時にはじめて自分の意志で行ったのが、この綿の国星の映画でした。ひどく衝撃を受けて、夜眠れなくなったのを覚えています。今回読んではじめて、ちび猫が白いペルシャ猫だったことに気が付きました。ふわふわ猫さんだったのね。擬人化していても、それぞれ本当に猫に見える。そしてひとつひとつのエピソードがどこかとても優しくて、改めて胸に温もりが残ります。時々読み返そう。我が家の猫たちを撫でながら。
読了日:06月30日 著者:大島 弓子
世界のすべての朝は (伽鹿舎QUINOAZ)の感想
サント・コロンブとマラン・マレの物語。音楽についての真摯な会話が胸を打つ。「音楽はまず言葉では語れぬっものを語るためにある。(中略)言葉から見放された人々のための小さな水桶。子供たちの霊のために。靴屋の槌音のために。幼年期よりもさらにさかのぼるあのころのために。息をしていなかったころ。光もなかったころ」 亡き娘のマドレーヌが、ファウストのマルガレーテに重なる。 「この世のすべての朝はかえってこない」 ふとファウストの一部のラストの場面がよみがえる。 「救われたのだ」
読了日:06月17日 著者:パスカル・キニャール
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